手間がかかるその背景とは
高級品?いえ、中身に見合った値段です

販売されている機械式時計の価格を見たときに、思わず目玉が飛び出してしまいそうになる方もいらっしゃると思います。それだけの価格を出せば、他にどんなものが買えるのかを思わず考えてしまうからでしょう。しかし、機械式時計の価値はそう簡単に比較できるものではありません。
価格としては高級品に思える機械式時計ですが、その中身を見る事が出来れば決して不相応の価格がついているとは思わなくなる事でしょう。そのうえ、機械式時計の魅力は中身に限りません。機械式時計は外装に至るまで職人達のこだわりによって仕上げられており、「動く芸術品」としての価値をあわせ持ちます。機械式時計につぎ込まれた技術者達の技と思いを感じた時、初めて真の価値を想像する事が可能になります。
浪漫の塊に値段をつけられるのだろうか
機械式時計は小さなボディの中に最低でも100個以上の部品を詰め込んでいます。ゼンマイから文字盤に至るまで、その一つ一つが機能的に動くことで正確な時を刻みます。時間を刻むという行為は時計にとって当然のように感じますが、小さなボディの中でひしめき合う小さな部品で正確な時間を刻むように調整する技術は、熟練の職人でなければ到底出来ない事です。
部品によっては肉眼で識別するには難しすぎるほど微細な物まで使用されています。そういった小さな部品達をいったん組み上げてしまうと、ぎっしりと詰まった見た目からは、再び分解することは到底不可能だと思うでしょう。
緻密な部品が数学的な動きで正確に時を刻む姿を見ていると、「人の手による作業でここまで情熱を注ぎ込んで作る必要があるのだろうか」と考えてしまう事でしょう。機械式時計は職人達のありったけの情熱をつぎ込んだ浪漫の産物です。そこに決して安い価値をつける事は出来ません。